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治療方法
 
外科手術
 
外科用アブレーションデバイスを用いた心房細動手術

日本医科大学 千葉北総病院 心臓血管外科  講師 石井庸介

図1
図1
  心房細動に対する外科治療は、1987年に米国ワシントン大学でメイズ手術が開発され、臨床応用が始まりました。その後、世界中で行われるようになり、現在では心房細動の標準術式となっています。その手術成績は良好であり(図1)、発作性心房細動の場合、ほぼ100%の症例で治癒します。慢性心房細動であっても90%以上の症例において治癒します。
1.心房細動の原因は何でしょう?

心房細動の原因は未だに詳細には分かっていません。現在、図2に示したように、肺静脈からの異常な興奮(★)や、右心房・左心房における大きく旋回する興奮が原因(矢印)と考えられています。

 
図2
    図2
2.心房細動手術の目的は何でしょう?

心房細動手術の目的には3つあります。
@ 不整な脈を規則正しくする
A 心機能を改善する
B 脳梗塞など血栓症を予防する

メイズ手術はこの目的すべてを達成するために開発された手術であり、それまで治らなかった心房細動が治るようになったのです。

 
3.心房細動手術のコンセプトには3つあります(図3)。

@ 肺静脈を電気的に隔離することで、肺静脈からの異常興奮を遮断して、心房全体に異常な興奮が広がることを防ぐ。
A 心房を切開することで心房を大きく旋回する興奮を遮断する。
B 左心耳を切除することで、左心耳内に血栓ができないように予防する。

この3つのコンセプトを一つにまとめた手術がメイズ手術です。メイズ手術により、心房細動の原因である異常な興奮が遮断され、正常な脈(洞調律)となります。

 
図3
図3
     
4.どのような患者さんが手術適応となるのでしょう?

欧米において最初にメイズ手術を行った際には、その手術適応は、心房細動以外に器質的な心疾患を伴わない孤立性心房細動であったことから、心房細動だけの患者さんに多く行われてきました。現在も欧米では孤立性心房細動に対しても外科治療が行われています。日本においては、日本循環器学会のガイドライン(2006年改訂版)によると僧帽弁疾患に合併した心房細動で、弁形成術または人工弁置換術を行う場合や、他に心房中隔欠損症、冠動脈病変や大動脈弁病変など器質的心疾患を伴った心房細動において心房細動手術の良い適応とされています。

孤立性心房細動の症例においては付帯した症状がある場合に手術適応とされています。例えば、血栓溶解療法に抵抗性の左心房内血栓症を合併している場合、あるいは適切な抗凝固療法にも関わらず左心房内血栓に起因する塞栓症の既往を有する場合においては心房細動に対する手術とともに左心房内血栓の摘除を行い、血栓塞栓症を予防する必要があります。薬剤抵抗性の不整脈のために動悸などの自覚症状が強く、Quality of life (QOL) の著しい低下が認められる症例や、薬物療法が無効な発作性心房細動で、除細動などの救急治療を繰り返している場合も手術適応であります。

近年、心房細動の非薬物療法として外科手術だけでなく、カテーテルアブレーションによる治療も行われるようになりましたが、カテーテルアブレーションの不成功例や再発例も外科手術の適応となります。

 
5.外科用アブレーション デバイスを用いたメイズ手術

心房細動手術の基本は、心房の電気的な伝導を遮断することです。心房筋を切開・縫合することで伝導を遮断することができます。
従来から行われてきたメイズ手術は、図4に示したごとく右心房・左心房を切開し、再び縫合する手術でした。弁輪部には凍結凝固を用いてアブレーションを行っていました。この手術は90%以上の心房細動を洞調律に復帰させることができる治療成績の良好な術式でしたが、心房の切開線が複雑な上に出血の危険性が高く、手術時間が長いという欠点がありました。

近年、医療工学の進歩により、切開・縫合をしなくても伝導ブロックを作製することができる外科用アブレーション デバイスが開発され、外科用アブレーション デバイスを用いたメイズ手術が行われるようになりました。これにより、手術時間は短縮され、低侵襲な手術が可能となったのです。

現在、日本で最も使用されている外科用アブレーション デバイスは高周波を用いたものであり(図5-7)、心房を線状に焼灼することができます。外科用アブレーション デバイスで心房を挟み、高周波の電流で心房筋を焼灼します(図89)。高周波アブレーション デバイスは500-1000 kHzの可変式の電流を用いており、70-80°Cで1分以内に貫壁性の組織壊死を起こすことができます。
組織に対する高い温度で細胞の電気生理特性を変化させ、心房筋細胞の脱分極・興奮性・自動能を不可逆的に変えます。2つの電極の間に挟んで高周波エネルギーを通電することによって貫壁性の組織壊死を起こし、限局した幅の狭いアブレーションラインを作製することができます。
外科用アブレーション デバイスの利点は、2本の電極間の通電抵抗をリアルタイムに調べることができ、貫壁性に組織壊死を作製できたことを直接、確認することができる点です。
このため、外科用アブレーション デバイスを使用することにより、不必要に組織を焼灼することがないので組織に対するダメージが少ないのです。心房組織を焼灼することによって心房の異常な興奮の伝導をブロックすることができます。心房を切開・縫合しなくても20秒間程度で伝導ブロックを作製できるので、出血の危険性が減り、手術時間を短縮することができます。

外科用アブレーション デバイスを用いた心房細動手術の術式は切開・縫合のメイズ手術を基にしており、メイズ手術のコンセプトを引き継ぎ、同等に良好な手術成績を挙げています。発作性心房細動の場合はほぼ100%の症例で治癒し、慢性心房細動であっても90%以上の症例において治癒します。
したがって、外科用アブレーション デバイスを使用することでより安全にかつ短時間に、低侵襲な手術が行えるようになったのです。

図4
図4
  図5
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図6   図7
図 6   図7
図8
図8
  図9
   

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